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華姫+様の日常

華姫+様の日常

第四話

寒い

冷たい


居たい



だから人間は一緒にいたがる?



放浪花嫁  第四話







その日は嵐がきた。
雨なんて滅多に降らないこのRED STONEという世界。
その世界には雨が蓄えられて、王様が怒ると蓄えられた雨を爆発させて、雨を降らせるとか。

それが俗に言う、台風とか、嵐ってやつで。
物凄い突風。
力強い鉄のような雨。
それが、一気に降ってくる。


シェルビアさんから教えられたんだけど、去年は昼間から一週間降って大変だったんだって。
魔界では、天気はずっとくもりか雨だったし。

それに、あの日も雨だったから。





ことことこと


シチューの美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
待ちきれなくなって厨房に行こうと立ち上がるけど、やっぱ人間界で食べる初めての夕食。
楽しみは後に取っとこうと思った。
でも、やっぱり我慢できない。

でも、なんか居づらい。

逃げ出したい。



人間っていうのは皆、誰かの体温を求めている?

そうかもしれない。

「旅人の集い」のメンバーがほとんどリビングに集まって、それぞれ自由に色んなことをしてる。
ひとつの場所に集まっているあったかさ。
こんな嵐の夜なのに、あったかい。



魔界は、もっと冷たかった、から。








「華ちゃん、夕食できたよ。」

さっきお友達になったばかりの植木さんが話しかけてくれた。

「あ、うん。」

魔界では、こんなことなかったのに。

「はい、えっと、華ちゃん、自己紹介。」

シェルビアさんに言われ、席を立ち、自己紹介。

巻き上がる拍手。笑顔。声。


魔界では、拍手の音はもっと、低かったなぁ・・・。

「それじゃぁいただきます!」

リアルさんの声を筆頭にどんどん皆が手を合わせて食べていく。

鼻をくすぐるシチュー。

一口食べれば、口の中に広がって。






でも


魔界と比べてしまう。



魔界で、こんなに大勢の人と夕食を食べる、なんて、なかったから・・・。


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